井伏鱒二「画本 厄除け詩集」
かつてあったパロル舎
夏目漱石「夢十夜」
萩原朔太郎「猫町」
内田百聞「冥途」
が金井田英津子さんの挿画によって
もとの作品がさらにすばらしいものに
なっていて、しずかに感動しました。
金井田さんの作品解釈がとてもよくて
シュールで摩訶不思議な世界観を
ぴったりと表現してくれている。
とくに「冥途」がよかった。
そして、他の本を捜し求めて
井伏鱒二の「厄除け詩集」
手元にずっと置いておきたい
蔵書の一冊となりました。
井伏鱒二の詩ははじめて読むけれど
真面目な顔して、受けもしない冗談を
いっているような、“それはないでしょう・・”
とツッこみたくなるような、ふっと微笑んでしまう詩。
そしてときどき、しんみりノスタルジック。
読んでいて、ひとつ勘違いしていた発見。
漢詩を自分の訳でつづっている中の
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
この言葉は今までずっと、
寺山修司が言った言葉だと思ってました。
なぜだろう。
他の漢詩も、大胆な訳で、ユーモアがちらっと
見えたりする訳もあって楽しめました。
「高陽一酒徒」→「アサガヤアタリデ大ザケノンダ」
阿佐ヶ谷なんてどこにも書いてないでしょう・・。
でも井伏鱒二は荻窪に住んでいたから、阿佐ヶ谷に
飲みに行ってたのかなぁと思うと、背景のイメージも
ふくらんで妄想。
それにしても、パロル舎のような独特な路線で
本を造ることにこだわった出版社はぜひ残ってほしかった。
せめて、わたしの本棚で大切に残しておきます。
カフェにあって読んで満足した「冥途」も
いつか手元に、と思います。
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