中谷宇吉郎「雪」
北海道で暮らす中で、雪が見せてくれる
さまざまな美しさを知ることがなかったら、きっと
この本は手に取ることはきっとなかったと思う。
岩波新書が創刊して以来のベストセラーなんて
どんなに人を惹き付けてきた内容なんだろうと
読んでみました。
優しく、そして真摯な様子が伝わってくる語り。
小難しくなく、私にもわかりやすい。
氷点下の中でしか実験できない世界。
雪も溶けそうな熱い想いがなければできないだろうな。
結晶の分類、結晶の落下速度、結晶の重さ・・
そこだけにある未知の宇宙。
その研究の結果が、人工雪の成功につながりました。
おどろいたのが、その研究の舞台が上富良野の
「白銀荘」だったこと!
大好きな温泉の一つで、露天風呂が最高です。
「それは、十勝岳の中腹三千五百尺のところにある、
山林監視人のために出来ているヒュッテの白銀荘というのを
借りることである。」
「駅から五里の雪道を、原始林の間を縫い、馬橇で顕微鏡だの
写真の道具だの食糧だのを運ぶのは大仕事であったが、
計画は見事成功した」
研究は昭和8年から15年くらいまで。
現在は吹き上げ温泉保養センターとして新築されて、
別サイトで見てみたら、当時の研究の「足跡」
のようなものは残ってないそうです。
こんな大きな業績の舞台だったのに。
なんだかちょっぴり残念なことです。
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