寺山修司「馬敗れて草原あり」
「お馬さんでも見に行くか」と
府中競馬場につれてってもらったのが
馬好きのはじまり。
競馬だけじゃなくて、乗馬も習ったし
調べては馬の登場する本を読んだり。
でも、寺山修司が競馬好きでエッセイを書いてるのを
知ったのは最近と言ってもいいくらい。
以前は、目に止まらなくてスルーしてたのかもしれない。
名前を聞いて頭に浮かぶとしたら、たぶん
「書を捨てよ、町に出よう」ですが、読んだことありません。
届いたのは1989年の新装版。
寺山修司の競馬エッセイは、ドラマチックでノスタルジックで
バタイユも登場してしまうほど哲学的でした。
そして、彼のまわりの競馬をとりまく人間模様は、
けっして幸せそうではなく、むしろ不幸そうなのに、
なんとも魅力的。
この時代の競走馬で知っているのは、最後のほうに出てくる
シンザンだけだけど、エッセイの中のエピソードを読んで
ダンサーズイメージ、カブトシロー、メジロボサツ・・
気になって検索してみる馬もいました。
馬の脚質には「逃げ」「差し」「追い込み」があって
それに、自分の人生を重ねて、重ねた馬の勝ちに賭ける。
そこに、ただのギャンブルではなくて昭和の時代を
懸命に生きる人たちが垣間見えてくる。
エッセイなのだけど、ときどき短編小説を読んでる
気分になる本でした。
ノミ屋の勝さんのはなしは、ジンときた。
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